潮汲川 

『那覇市の文化財1989』那覇市教育委員会よりp101より

首里金城町の斜面のほぼ中央部よりさらに西よりに下がった所にある共同井戸である。創設年代不明。伝承によれば往昔この井戸の近くまで入江になっていたという。そのため、かつて井戸水は、塩気があったことから潮汲川(ウスクミガー)とよばれ、それが訛ってウスクガーになっているという。

構造は斜面をL字型に削り、半円型に垂直に掘り下げて内側を石積みで固め、孤に当たる部分に井戸口を三方から囲むようにして土留めの石を積み上げ、正面中央に箱型の凹みを造り、その中に石の香炉を置いてある。弦に当たる井戸端に接して水汲み広場を設け、広場の片隅に排水用暗渠を設けてある。井戸口の左右の石壁には四角柱の石が相対して突き出している。この相対する石にはかつて横木が固定されていたと考えられる。

この井戸は水量も豊富で古くから地域の飲料水となり、溢れ出る水は斜面の裾に広がっていた水芋田(俗称下田)の灌漑用水となっていた。又、今なお水に対する民間信仰の拝所ともなり、長い歴史の流れの中で地域住民と深い係わりをもっている井戸である。

『那覇市の文化財1989』那覇市教育委員会よりp101より

コンクリート屋根と土間コンクリートを撤去し、水道管を見えなくし、石垣の壊れたところを補修しました。